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【連載!中国の小売・サービス事情vol.8】地下鉄もスマホ決済で完全なキャッシュレス社会へ


「連載!中国の小売・サービス事情」は、上海在住で日系百貨店に勤める洞本宗和さんの個人ブログ 「ONE HUNDREDTH」の転載になります。本連載は、洞本さんより、日本の小売業界の向上の一助になれば、と転載許可をいただき掲載しております。

上海の地下鉄でスマホ決済がスタート

2018年1月20日から、上海の地下鉄でスマホ(モバイル)決済がスタートした。数ヶ月前から浦東空港を行き来するリニアモーターカー等で実験されていたのだが、今回で全面解禁となる。

ご存知のように、中国の都市部では、ほぼ現金を使わないで生活できるキャッシュレス社会になっているが、これまでは地下鉄やバス・タクシーに乗る際に使用する「交通カード」だけは必ず携帯する必要があった。

参考までに上海の地下鉄の基本情報を伝えておくと、上海の地下鉄には定期というものが存在しない。基本的に切符を買うか、下記画像の交通カードを使うか。交通カードは最初に20元のデポジットを支払って購入し、以降は都度チャージしながら使用するプリペイド方式。

料金は初乗りが3元(約50円)、以降は10kmごとに1元が加算される。最初の1号線ができたのが1994年とのことだが、現時点で14路線が市内を走っている。実に僅か20数年で東京の13路線を抜き去り、今現在も次々に新しい路線が開発されている。

上海で生活する人にとって、スマホとこの交通カードが生活に欠かせないアイテムだったわけだが、使用頻度の高い地下鉄がスマホ決済に対応したことによって、本当に現金を持たずに生活できる環境が整ったことになる。

スマホ決済の使い方

①専用アプリのダウンロード&設定

まずは、上海申通地铁集团有限公司が提供する「Metro大都会」のアプリをダウンロードする。日本のAppStoreからでもダウンロード可能だ。

https://itunes.apple.com/jp/app/metro%E5%A4%A7%E9%83%BD%E4%BC%9A/id1202750238

アプリを立ち上げ、中国サービスの一般的なID登録方法である携帯番号・パスワードを設定して先へ。支払い方法は、Alipay(支付宝)か銀聯(≒銀行カード)の2種類が選べるので、どちらかを選択し、個人認証をおこなえば完了。

Alipayが使えるのになぜWeChatが使えないのかというと、上海申通地铁集团有限公司とアリババが戦略的業務提携を締結したことによる。今回のシステム導入にも、かなりアリババの協力があった模様。今後は音声認識システムによる切符購入や、顔認証システムによる改札通過など、アリババの最新技術が上海の地下鉄にどんどん導入されていくことになるだろう。

②専用改札へ進む

駅の改札に行くと、「刷码过闸」と書かれたレーンがあるので、そこを選んで進む。それ以外の改札はまだスマホ決済には対応していない。

③QRコードをかざして入場

「Metro大都会」のアプリを立ち上げ、QRコードを読み取り機から5cmほど離した場所でかざすと、機械が認識して進むことができる。

④QRコードをかざして退場

出る時も同じ手順。スマホ決済に対応した改札を選んでアプリのQRコードをかざすと、乗車料金がアプリに紐づけた決済方法から即座に引かれる。

上記の手順としては非常に簡単だ。ただ、まだ慣れていない客が多いのか、QRコードを読み取り機に近づけ過ぎてなかなか反応しなかったり、アプリの設定が完了しないまま改札を通ろうとしたり、改札で手こずっている客も散見される。

日本人からすると、QRコードに違和感を覚える人も多いだろう。日本のようにNFCを使ったシステムであればスマホ自体をかざすだけで、わざわざアプリを立ち上げる必要もない。読み取りの反応も早いし。精度も高いだろう。ただし、そこはQRコードに慣れきった中国。NFC等、専用のハード・機能が備わった一部のスマホしか対応できない仕様ではなく、どのスマホでも対応可能なQRコードがここでも採用されている。

外国人の対応はこれから

最初この情報を聞いた時に、「これからは交通カードも不要になる!」と筆者も期待していたのだが、実は外国人にはまだ対応していない。
上記使い方の手順①のアプリ設定時に個人認証をおこなうが、この時に中国人が保有する身分証が必要なのだ。外国人にとっての身分証であるパスポートにはまだ対応していない。現地メディアによると、外国人には2018年度中の対応を予定しているとのこと。

前回、「【マーケター向け】中国視察の前に準備しておくべきこと」内で外国人出張者&旅行者に立ちふさがる中国の壁として、(1) グレートファイヤーウォール (2) アカウント登録に必要な中国携帯 (3) 中国の銀行口座 の3つを挙げたが、中国の様々なサービスに見られる4つ目の壁が、この身分証だ。

今回の地下鉄もそうであるし、以前紹介した傘のシェアリングサービス「摩傘」をはじめ、中国人が持つ身分証がなければ(=中国人でなければ)使用できないサービスは、しばしば存在する。

凄まじいスピードで新しいサービスが生まれている中国であるが、一方では中国人しか使えない、中国に住む人しか使えない、というガラパゴス化したものになっているというのも中国産サービスの特徴である。

 

※2018年5月9日更新

「Metro大都会」は、2018年4月の1.8.8のアップデートから外国人も登録・利用できるようになった。

また、2018年3月末からは「Apple Pay」が上海の地下鉄に対応。Apple Payに中国の銀行カードと上海交通カードを紐づければ、「Metro大都会」のようにアプリを立ち上げてQRコードを読み込ませる必要もなく、iPhoneをかざすだけで乗車できるようになった。

転載元:地下鉄もスマホ決済で完全なキャッシュレス社会へ 2018/1/24掲載