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長谷川秀樹のIT酒場放浪記 第59回 株式会社アクセルラボ COO新貝文将さん


ハンズラボCEOの長谷川秀樹が、エンタープライズ系エンジニアが元気に働ける方法を探し、業界のさまざまな人と酒を酌み交わしながら語り合う本対談。第59回のゲストは、日本のスマートホーム、ホームIoTの最先端を切り開いている株式会社アクセルラボの新貝文将さん(COO)です。海外の新サービスを日本に持ち込むという仕事のスタイルができた経緯や今注目のホームIoT関連サービス、日本のスマートホーム市場の拡大の見込みなど、大いに語っていただきました。

新卒で入社した会社がたまたま外資系になり 海外に関わるように

長谷川: 新貝さんと初めてお会いしたのは、2018年1月にラスベガスで行われたConsumer Electronics Show(CES)でしたね。

新貝: つい3ヶ月ほど前ですね。

長谷川: 僕は、初めてのCESだったんですよ。いつもニューヨークで開催されるNational Retail Federation(NRF)という全米の小売業のテックカンファレンスに参加していて、例年だとCESの開催時期と被っているか、間が1週間くらい空いちゃっているようなタイミングが多かったんです。今年はちょうどCESが終わってすぐNRFで、CESの方が面白いっていう話も聞いていたので、ぜひ行こうと。

新貝: もともと我々が入れていた米国企業アポに長谷川さんも同席されることになって、アポの直前にエレベーターホールで初めてお会いしたんですよね。長谷川さんは僕のことを女性だと思っていたという(笑)

長谷川: 名前にFumiと書いてあったから、英語を喋れるかわいい子が来るのかなと思ったら「あれ? おっさん? おかしいな」みたいな(笑)。
でも初めてのCESだったから、新貝さんに色々案内してもらって本当に良かったですよ。

新貝: 本当ですか。良かったです。

長谷川: かなり衝撃を受けたんですよ。僕らが「あったらいいな」と考えるようなIoT商品は大体CESで出展されていることも分かったし、「ここにはこんなにあるのに、日本ではIoT商品が全然売ってないな」ということも改めて気づきました。

新貝: そうですね。

長谷川: CESでお会いした時は、今のアクセルラボに移る前で、コネクティッド・デザインという会社でしたよね?

新貝: そうです。東急電鉄グループのIoTの会社です。

長谷川: もともと東急なんですか?

新貝: 違います。結構転職しているので経緯を説明すると長くなるのですが、新卒で入ったのはインテュイットという会社です。

長谷川: アメリカの、「弥生」みたいな会計ソフトの会社ですね。

新貝: よくご存知ですね。もともとは「弥生」を作っていた日本の会社に内定していたんですけど、入社したらインテュイットと統合して外資系の会社になったんですよ。そこで4年ほど社内システムなんかをやっていたら、あるときインテュイットの日本法人の中で検索エンジンの「エキサイト」のプロジェクトが立ち上がって。

長谷川: あの「excite」?

新貝: そうです。当時アメリカにExcite@Homeという会社があって、それは検索エンジンのexciteとケーブルテレビ網を使った高速インターネットサービスの@Home Networksが合併した会社だったんです。
日本ではexcite Japanを伊藤忠が立ち上げたんですが、住商とJ:comがExcite@Homeと1999年に@Home Networksの日本法人にあたる@NetHomeというジョイントベンチャーを立ち上げ、僕はそこにスタートアップメンバーとして入ったんです。
最初の仕事が北米で動いているバックエンドシステムを日本で立ち上げるというのと、J:comのインターネットサービスの立ち上げでした。それから2年後くらいにITバブルが崩壊して本社が潰れちゃったので、色々なオペレーションをテイクオーバーさせるために海外のプロダクトを引っ張ってきて日本仕様にカスタマイズするようなプロジェクトを、いくつか中心になってやらせてもらいました。

輸入したスマートホームのプラットフォームが注目され、新会社設立のきっかけに

長谷川: どういう経緯でIoTに関わるようになったんですか?

新貝: J:comでは、エンジニアでありながら海外のプロダクトをもってきて日本で新規事業を立ち上げるということを7年くらいやらせてもらえました。J:comのインターネットサービス、デジタルテレビサービス、VoIP型の固定電話サービスの立ち上げにすべて関わらせてもらったのですが、あまりにも忙しすぎてちょっと疲れてしまい、少し楽をしたいと思ってITや通信業界を離れようと製造業の会社に行ったんです。
そこで1年ほど経ち前線での忙しさが懐かしくなってきた頃、J:com時代に導入したカナダのソフトウェアの会社から「アジア展開したいから手伝って欲しい」という声がかかったので、一念発起して個人事業主になってそこと契約し、営業活動や日本法人の立ち上げをやりました。そのときのお客さんが、東急電鉄グループのイッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)だったんです。それがきっかけでイッツコムから「うちに移籍してくれ」と言われ、2011年にイッツコムに入りました。

長谷川: なるほど。そこからコネクティッド・デザインに?

新貝: はい。最初はイッツコムの事業としてやっていたんですけど、なかなかスケールしにくくて。あるとき、スマートホームのプラットフォームで世界最大手だったiControl Networksという会社を日本に引っ張ってきたんです。それが日経の一面に出たんですよ。「東急グループがアメリカ最大手と提携してスマートホームの事業を立ち上げる」って。それをきっかけに色々な会社から問い合わせが入るようになり、その中にニフティがありました。一緒に会社を作りましょう、という打診があって、それでニフティとイッツコムと東急電鉄でコネクティッド・デザインという会社を作りました。

長谷川: ニフティは昨年富士通グループとノジマの子会社に分割されて、「デイリーポータルZ」と「東京カルチャーカルチャー」(カルカル)はイッツコムに譲渡されましたけど、それ以前の話ですよね。

新貝: そうです。カルカルの事業買収も、IoT事業でニフティと接点ができたから生まれた話なんですよね。

長谷川: そうだったんだ! コネクティッド・デザインの株の比率はどういう感じなんですか?

新貝: 東急電鉄が10%、ニフティが33.4%、残りの54.6%がイッツコムです。
東急全体でIoTが分かる人がいなかったので、好きにやらせてもらえました。当初、「IoTだからハードの人間で固めよう」という話だったんですけど、「ハードじゃなくてソフトウェアで世の中をつなぐんだ」と言って、ソフトウェアエンジニアをヘッドハンティングしてきてソフトで拡張できるようにしたんです。それが時代の流れにも合っていて、世の中で注目を集めるようになりました。

ホームセキュリティの付加価値としてスマートホームが浸透しつつあるアメリカ。日本では?

長谷川: アクセルラボに移ったのはどうしてなんですか? 会社が思うように動かないとか、そういうこと?

新貝: グループの中で注目度が高まったんですよね。ちょうど中期経営計画を立てるタイミングで、ネタとしてキャッチーなIoTをやっているこの会社はなんだ? となって。

長谷川: いいじゃない。

新貝: そうなると、みんな色々言い始めるんですよ。でも海外からモノを引いてくるのって簡単ではなくて、足しげく通った末に仲良くなって、ようやく「日本に来てもいいかな」と思ってもらえるんですよ。そういうのが実を結び始めた時期だったんですが、いざ日本に持ってこようとすると、最近は意思決定のプロセスが重くなっていて……。

長谷川: ややこしくなってきたんですね。

新貝: そうなんです。でもスマートホームは絶対来ると思っていたので、なんとかするには独立しかないかと考えていました。それでいろんな会社に「仕事ありますかね」と聞いてみたら結構反応がよくて、「すぐに頼むよ。いつ起業するの?」と言ってきたのが今の会社です。
何をしたいのか聞いてみると、AIを使ったIoTなんですね。それの立ち上げを手伝って欲しいと。「いいけど、その代わりにやりたいことやらせてくれる?」と聞いたら「いいよ」と言ってくれたので、即決しました。社長が目指す方向性と僕が目指したい方向性が一致していたことが大きな判断のポイントでした。社長自身がこの新規事業に相当強い思い入れをもっており、オーナー社長故の経営判断のプロセスの短さで、スピード感をもって事業推進できそうなことも魅力的でした。

長谷川: 日本の会社?

新貝: そうです。オーナーは不動産投資会社として投資物件を作っているデベロッパーなんですけど、スマートホームの要素を付加価値にしようとしているんです。前職のときも不動産業界からのスマートホームやコネクティッドホームに対する関心が高いと感じていたので、確かにそっちの業界に行ったら面白いかなと思いまして。

長谷川: ホームIoTって、日本ではどうやって広まっていくと思いますか?

新貝: アメリカだと、まずはホームセキュリティの市場があるんですよね。ホームセキュリティって何かあった時の保険のために入れるもので、何かないとありがたみを感じないんですけど、それを日々使えるホームセキュリティにしようと、スマートホームの要素を付けて販売するようになったのが、2010年頃からです。

長谷川: 結構昔ですね。

新貝: それだけ進んでいるんですよ。「ただのホームセキュリティだったら要らない」という人たちも、「スマートホームもついてくるなら」ということで加入者が増えています。アメリカのホームセキュリティの普及率は20%で、残り80%を開拓しようということでホームセキュリティの事業者以外のプレイヤーも入ってきています。日本の場合、普及率がまだ2~3%なので、97~98%のグリーンフィールドがあるわけです。

長谷川:もともとネットワークに繋がったカメラみたいなものはあったと思うんだけど、 IoTによって、ホームセキュリティの何が変わるんですか?

新貝: いろんな観点がありますけど、例えばカメラ単体の話だと、最近はハッキングの心配もありますよね。実際、市販されているカメラはインターネット越しにカメラにアクセスできてしまうから、すぐに乗っ取られちゃうらしいです。でも、サービス型のものはサーバーをハッキングしないとたどり着けないので、セキュリティレベルが高い上に、組み合わせで色々なことができるんですよ。
例えば、ドアにセンサーが付いていて、ドアのところを映しているカメラがあると、ドアが開いた時のスナップショットをユーザーに送るということができるんです。
うちのドアもスマートロックを付けていてセンサーがあるので、ドアが開いたらLINEにその時の様子が通知されるんですよ。

長谷川: 奥さんが知らぬ男を連れ込んでも、分かっちゃうんですね。

新貝: そうそう(笑)。酔っ払って帰ってきたのも分かっちゃう。
前の会社で「LINEで家と会話ができる」というコンセプトで作ったんですけど、LINEの画面でタッチするだけでスマートロックを開けることもできます。マンションのエレベーターを降りた時にLINEを取り出してピッとやると、玄関に着いたときには鍵が開いているんですよ。しばらく操作がなければオートロックで閉まるので、間違えて操作したときも安心です。他に、エアコンの操作なんかも外からできます。
こういう感じで、繋がっているセンサーの組み合わせで色々できるので、何かあった時だけでなく普段から使っている感のあるホームセキュリティになるんです。

(http://www.itscom.jp/nrelease/fy2016_release/55962.html より)

AI搭載のスマートホーム、スマート冷蔵庫…。今注目の海外サービスは?

長谷川: 今、海外のIoTのサービスで「これはいい!」と思うものはありますか?

新貝: 正に今、日本での展開を手伝っているんですけど、「CASPAR(キャスパー)」というAIを使った最先端のスマートホームはすごいですよ。
最初はスマートスピーカーに向かって「キャスパー、カーテン開けて。照明を付けて」と音声でコントロールするんですけど、何日かするとキャスパーの方が「この人は朝起きたらまずカーテンを開けて、それから電気を付けるんだ」ということが分かって、突然自動で動くようになるんです。夏になって、暑いのでカーテンを開けたくないときは「キャスパー、カーテン閉めて」と言っていると、夏はカーテンを開けない、というのも学習します。

https://caspar.ai/jp/ より)

長谷川: それはCESにも出てたんですか?

新貝: 出てないです。キャスパーを開発しているのはBrain of Thingsという会社でBtoCではなくBtoBtoCでやっているので出てないんですけど、めちゃくちゃ注目企業なんですよ。Googleのラリー・ページとセルゲイ・ブリンをスタンフォード時代に見出して投資したデビッド・チェリトンという人がファウンダーで、投資家にはGoogleの初期の投資家でAirbnbなんかにも投資しているロン・コーウェイという人がいたり。実は今いるアクセルラボの親会社のインヴァランスという会社も投資しています。
キャスパーは「家のOS」という位置づけなんですけど、それをビルトインしたマンションを販売していく予定です。高輪に体験スペースがあるので、良ければ来てください。

長谷川: 家のOSがだんだん賢くなっていくというのは、面白いですね。他には何かありますか?

新貝: 昔から言われていた「インターネット冷蔵庫」を具現化した「Samsung Family Hub」(https://www.samsung.com/us/explore/family-hub-refrigerator/connected-hub/ )というのがあります。スマホで最新の庫内情報が確認でき、賞味期限の管理ができるほかに、Tizen OSを搭載しているので通常スマホで使っているWebサービスが色々使えるんですよ。家族のスケジュールや買い物リストやメモなんかも家族のスマホと共有できたり、
台所で家事をしながらボイスコントロールで天気予報、渋滞情報、ニュース、音楽ストリーミングも楽しめて、まさに「Family Hub」ですよね。
「SkyBell」(http://www.skybell.com/ )はスマートフォンで応答可能なインターフォンです。インターフォンが押されたとき、外出中であってもスマホで応対できます。玄関先をモニターするIPカメラとしても使えて、玄関に誰かが近づいた時の様子を自動録画もできます。
室内で観賞用の植物とか、バジルやハーブみたいな食用植物をクリーンに育てられるedn(https://edntech.com/ )もいいですよ。木材やアルミを使っていて高級感もあり、インテリアとしてもナイスです。
あとは、タッチスクリーン付きのスマートな壁スイッチの「noon」(https://noonhome.com/ )とか。

スマートホームの普及のカギは日本人のマインドチェンジ?

長谷川: 冷蔵庫と言えば、冷蔵庫が家の外と中と両方から開けられるようになっていて、外から業者さんが開けて補充できる――みたいなアイデアはイカしてるなと思いつつ、現実的にはそんな良い塩梅のところに冷蔵庫を設置するのは工事も大変で。そうなると、宅配の人が来たらスマートロックが開いて家の中まで入れてくれる、というアメリカのAmazonの方式を受け入れるマインドチェンジの方が早いかもしれないですよね。100%の人が受け入れはしないだろうけど。

新貝: そうそう。Amazonの場合、配達員の権限でスマートロックを開けると、その様子がカメラで確認できるようになっています。賛否両論あるけれど、それを良しとする人が10%くらいいるらしいです。Amazon.comのレビューを見ても比較的高いレートがついてる。アメリカだと留守の場合の再配達なんかなくてドアの前に置いて行かれて、盗難なんかも結構ありますから。

長谷川: 日本人の場合、お手伝いさんとかベビーシッターを家に上げるのも抵抗があったりして、もともとの感覚が違いそうですよね。

新貝: そうですね。でも、そういう感覚というか常識というのは、結構短い間に変わっているんですよね。例えばサザエさんの時代だと、留守でも配達の人がガラッと戸を開けて「こんにちは。置いていきますね~」というのがあって。ちょっと前の世代までは家ってそんなに強固なものではなかったわけです。それが都市の生活になって近所のことも分からなくなったのでセキュリティを高めていって、荷物を置いていってもらうとかお隣の人に預かってもらうとかができなくなったから、週末に再配達を待ってイライラするようなことになっている。それってすごくもったいないですよね。IoTはそこを解決できると思うんです。

長谷川: 個人情報を守りたい派の人たちっていますけど、僕は逆で、自分の個人情報なんて大したことないと思うんですよね。例えばロンドンでは監視カメラがそこら中に付いていて、レストランが「ナントカというカメラがうちには付いています」「カメラが付いているので安全です」というのをアピールポイントにしたりしているんですよね。
Amazon Goも、無人の店だと万引きできるんじゃないかってみんな考えるんだけど、カメラがあって何かあったら警察に出すとか、あるいはそのまま公開するとか、そういう形で安全性を高めて生活を便利にしていくというのが、健全だと思うんですよ。

新貝: おっしゃる通りで、今はどこに行ってもカメラがありますからね。
色々なテクノロジーが当たり前のものになるのには相当時間がかかっているので、スマートホームもまだまだこれからです。でも、将来は絶対に当たり前になると思っているんです。携帯電話だって、最初はそんなの持って外で話していることが「おじさんくさい」、「かっこ悪い」と思われていた時代もあって、それでも個人で使う人が増え、さらに会社で支給されるようになったら、もう当たり前のものになりました。
今、AmazonはAmazon EchoをBtoBで普及させようとしているらしいので、オフィスで使うのに慣れたら、暑い時にわざわざ壁のところまで歩いていってエアコンのパネルを操作するよりも、「暑い」といったら勝手に室温が下がるのが普通、という感覚になるんじゃないかと思います。

長谷川: 僕が小学生の頃にテレビにリモコンが付くようになって、おふくろは「そんな自堕落なことアカン。たかが2~3m動けばできることを、そんなアホな!」と言ってました。でも、今はテレビのチャンネルはリモコンでしか変えられなくなっているところを見ると、人間はそっちに動くっていうことですよね。

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長谷川: 新貝さんは、学生のときから海外志向なんですか?

新貝: 親がそうだったんですよね。新潟の人口1万人くらいの田舎で、親は鉄工所をやっていたんですけど、小さい頃から「家業は継がせない。お前が大人になる頃にはグローバル社会になっているから、中学校に入ったら留学だ」って言われていたんです。僕は抵抗して、中学も高校も留学しなかったんですけど、「英語を勉強しないと家に入れない」と言われて公文(KUMON)の英語をやらされていました。あと「コンピュータを勉強しろ」とSHARPのX1というマイコンを買い与えられました。プログラム組まないと遊べないんです。

長谷川: 新潟の鉄工所をやりながら子供に英語とITをやらせるというのは、先見性がありますよね。

新貝: 親は文系ですけど、大学でコンピュータを習ったらしいんです。まだITなんて言葉もない頃に「コンピュータで会社の業務が大きく変わる」と聞いて鉄工所にコンピュータを入れ、自分で生産管理や経理のシステムを作って。それから別の会社も立ち上げてNEC経由でシステムを売ってたんですよ。
そんなわけで、ずっと「英語とコンピュータができれば食っていける」と言われていて、僕は反発して極力コンピュータに触れないようにしていたんですけど、まあ家にあるとなんとなく分かるようになりますよね。大学も文系に行きたかったんですけど、「文系に行ったら学費も生活費も出さない」と言われて嫌々理系に行きました。

長谷川: じゃあ、大学で留学したのでもなく?

新貝: はい。たまたま入った会社が外資になって、次に飛び込んだのが外資のジョイントベンチャーだったので、仕事を通じて英語を使えるようになりましたね。そして、気づいてみたら、ひたすら海外の新しいプロダクトを引っ張って事業を立ち上げるということをやっていたんです。
僕、アメリカ50州のうち、33州に行ってるんですよ。

長谷川: 多いですね!

新貝: アメリカって一極集中でなくて、いろんな州の、本当に「ど田舎」にエクセレント・カンパニーがあるんですよ。これは本当に面白くて、アメリカの強さはそこにあると思うんです。
今はコロラド州のデンバー周辺が熱くて、すごくたくさんのスタートアップが立ち上がっています。この間アポを取って、住所を見て行ったら倉庫なんですよ。「どこにオフィスあるんだろう?」と思って倉庫の扉を見ると会社名が書いてあって、開けてみるとそこのプロダクトが置いてあるから「ここか!」みたいな感じで。

長谷川: そんな感じなんですね。

新貝: 長谷川さんが最初におっしゃったように、アメリカにはIoTのプロダクトがこんなにあるのに日本には全然ない、という状態なんです。だからこれまでは、「日本の市場ってこんなに大きいんだぜ」と向こうの会社を口説いて持ってくるというのがメインだったんですけど、自分の夢は日本のいいものを海外に紹介することなんです。
クルマなんかもそうだったように、日本人て全く新しいものを生み出すことは少ないけれど、海外で生まれたものを持ち込んでいいようにカスタマイズするじゃないですか。実際、アメリカのソフトウェアを持ってきて日本でカスタマイズしたら、アメリカの人には「こんなやり方あったのね」って結構ウケてました。いわゆる「魔改造」ってやつです(笑)。純粋に日本で生まれたものを持っていきたいという気持ちももちろんあるんですけど、向こうから輸入したものをさらに磨いて持っていくというのも面白いと思うし、そういう形で日本を盛り上げていきたいんですよ。

長谷川: いいですね! また色々教えてください。今日はありがとうございました。