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【Pick Up! Vol.37】〜ZOZOTOWNの『送料自由』体験レポート〜


こんにちは、引き続き日本滞在中のライター公文紫都(普段はNY在住)です。

日本に帰ってきたときの楽しみといえば、個人的には食&買い物があります。
NYにも洋服や小物を買える場所はたっっっっくさんありますが、なかなかサイズが合わなかったり、色味が好きじゃなかったり……と自分好みのお店を探すのは大変。

なので普段はECを活用することも多いのですが、日本に帰ってくると、「これもあれも……好きだーー!!」と、街中に自分好みのものが溢れているので、時間を見つけてはお店に行き買い物を楽しんでいます。

今回は滞在前から、日本で財布と化粧ポーチを買おうと決めてきました。
化粧ポーチはあっさり見つかったものの、財布がなかなかない…!
以前は長財布派でしたが、アメリカですっかりクレジットカード中心の生活になり二つ折り財布に慣れてしまったので、長財布に戻れる気がしない……と小さめのお財布を探すものの、これが見つからない。

そこで、そうだ! ZOZOTOWNがあるじゃないか! と思い出し覗いてみると、ありましたありました。さすが可愛いものの宝庫、ZOZO。

しかも最近、「送料自由」を試験的にスタートしたとのことで、これは試してみたい! と早速買い物してみました。

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長谷川秀樹のIT酒場放浪記 第53回 株式会社LIXIL CIO 兼 情報システム本部長 小和瀬浩之さん


ハンズラボCEOの長谷川秀樹が、どうすればエンタープライズ系エンジニアがもっと元気になるのか?という悩みの答えを探し、IT業界のさまざまな人と酒を酌み交わしながら語り合う本対談。第53回目は株式会社LIXIL CIO 兼 情報システム本部長の小和瀬浩之さんに登場いただきました。情報システム部門こそ事業や組織をドラスティックに変える力を持っていると語る小和瀬さん。花王での八面六臂の活躍や、新天地を求めてLIXILに入社してからの奮闘を伺いながら、その“熱さ”の源泉に迫ります。

株式会社LIXIL CIO 兼 情報システム本部長 小和瀬浩之さん
1963年11月埼玉県生まれ。1986年に早稲田大学理工学部を卒業後、花王株式会社入社。システム開発部にて、国内流通システムや海外関連会社システムなど構築を担当。1995年より、タイ花王に出向し、ITディレクターとして基幹系システムなど業務改善を推進。2000年より花王グループの業務標準化と業務改善に従事し、2004年に同社情報システム部門グローバルビジネスシンクロナイゼーション部部長、2012年10月に情報システム部門統括に就任。2014年1月より、株式会社LIXILに入社。執行役員 IT推進本部本部長となり、2015年12月より上席執行役員 CIO兼IT情報システム本部本部長。2016年7月より理事CIO兼 情報システム本部本部長(現職)に就任。

とんがった人間も活きる
自由でフラットな組織に 

長谷川小和瀬さんと知り合ったのは、日経ITイノベーターズの幹事会員になったことがきっかけですかね。当時からはっきりモノをおっしゃる方で、すごく印象的でした。

小和瀬:いや、長谷川さんほどではないですよ(笑)。お互い、あまり取り繕っても意味がないと考えるタイプですからね。

長谷川:LIXILに入られてまだ1~2年目だったと思いますが、花王みたいな会社を辞められて、チャレンジングな方なんだろうなと思ったら、実際そうでした。

小和瀬:花王はすごくいい会社でしたが、27年間思う存分やらせていただいて、このまま残るよりLIXILに行く方がきっと苦労するだろうと。それであえて出ることにしたんです。それまでの経験から、苦労した方がその後に得る喜びが大きいことが分かっていましたから。

長谷川:変革、改革って本当にパワーが必要ですからね。小和瀬さんのすごいところは、システムに対してもそうですが、組織改革にも当然のように取り組んでいらっしゃる。

小和瀬:これからの時代、変化に対応していくためには、フラットな組織で情報がどんどん流通して、どんどん変われるような組織である必要があるのは明らかですからね。服装も呼称もカジュアルにしたいし、コミュニケーションそのものをフラットにしたいんですよ。

瀬戸さん(瀬戸欣哉社長)も現場を大切にする方だし、本気でカルチャーを変えようとしています。私がジャケットを着ていたら、「IT部隊こそ、もっと自由な方がいいんじゃないですか」って指摘されて(笑)。実際、うちの部署はTシャツ、ジーパン、短パンOKですよ。

長谷川:えっ、そこまでフリーなんですか。

小和瀬:ええ、住宅設備のメーカーですが、メンバーには「業界内だけを意識するな」と言っています。これからはどこが競合やパートナーになるのかわからないですから、今、意識するなら、GoogleやAmazonのようなオープンでフラットなコミュニケーションが強みになっている企業でしょうと。

長谷川:確かにGoogleやAmazonなどは普通に30〜40代の役員がいますからね。

小和瀬:そう、自分を振り返っても一意思決定が早いのは40代だし、フットワークも軽い。年齢を重ねれば別の強みも出てくるけれど、スピード感は断然違いますから。長谷川さんも新しいものを躊躇なく取り入れて、成果を出している。さすがだなと思いますよ。

長谷川:小和瀬さんほどではないですが(笑)、「ファーストペンギン」ですよね。面白そうだ、行けそうだと思うと、つい飛び込んでしまうんですよ。前例がないほど、燃えてしまう(笑)。

小和瀬:新しい可能性を見極める目って大切ですよね。ITはとんがった人の力が発揮されやすい部分ですから、“オタク”を大切にするようにしているんです。実際、運用管理部門にいた人で携帯端末を10種類くらい持っている人がいて、飲み会で話したらすごく面白かった。それで、ビッグデータやAIのような最先端の研究だけをやっているインフォメーションエクセレンス部に異動させたんです。VRが大好きで嬉々としてやってますね。

システムは現場で
使ってこそ価値が生まれる

長谷川:とんがった人間って、とんがった人間とつながっていますよね。

小和瀬:そう、その彼が紹介してくれたのがクラウドネイティヴの齊藤愼仁さんで、彼とは考え方が一致して、うちの基幹ネットワークの構築を依頼したんです。まだまだ日本の会社、特に製造業はインターネットの活用が十分とは言えません。それを打開する人が必要なんです。とんがった外部の人とつながって、刺激を受けながら旧態依然とした組織を変えていく。長谷川さんもアクセンチュアでは、関係する会社に影響を与えてきたんじゃないですか。

長谷川:いやいや、とんでもないです。やはり、東急ハンズに来てからは、自分の責任でできるので、最高に楽しいです。外部からの支援は限界があると感じていました。特に、ファーストペンギン系のことは(笑)。

小和瀬:私自身も、花王に入社してすぐ、システム開発部で日本全国の販売会社を回っていた経験が、その後の仕事の基盤になったように思います。日本の北から南まで50拠点くらいを3週間ほど滞在して、システムをメインフレームに切り替えるために、導入だけでなく、オペレーターに説明したり、ピッキングを手伝ったりいろいろやっていましたね。つくった本人が一番システムをわかっているわけですから、とにかく動きを確かめて、使いやすさを調整して、現場に根付かせようと一生懸命でした。でも、現場の若い女性がダム端末のテンキーを私の倍くらいの早さで打つんです。そして、あっという間になれてしまう(笑)。現場はやっぱりすごいわけですよ。

タイ、インドネシアやマレーシアの海外関連会社を、数ヶ月かけて出張で回ったこともあります。その後、出張での海外支援では不十分だと思ったので、タイ花王に出向させてもらいました。その時も18カ所に拠点があったのでタイはかなり隅々まで行きましたね。未だ専用線が完備されていないところもあって、パラボラアンテナでつないだこともありました。

長谷川:それは楽しそう。それ以降、ずっと情報システム部門にいらっしゃったんですか。

小和瀬:そう、若い頃はずっと現場現場で、本社の仕事をしたことがなかったんです。まるで出世コースとは外れていました。ただ当時としては育てる余裕もあったのでしょう、「海外出張に行くなら観光もして来い」と、特に一流のモノに触れるようにと言われて、よく美術館などに行きました。ある先輩なんて、「自分で何をやるか考えてやれ」っていわれて、米国に行かされましたよ。

 

急激な業務改善効果に
本社からお偉いさんが見学に!

長谷川:花王ってそんな会社だったんですか。知っていたら入っていたかもしれない(笑)。

小和瀬:いい会社でした。時代もあるのかもしれませんが、今と比べると締め付けが少なくて、一人ひとりの自由度が高かったと思います。それが、日本全体で言えることですが、いつの間にかリスク管理が厳しくなりましたよね。システムも同様で、管理系ばかりになっていますが、現場の人は手間がかかるばかりで、誰も喜ばないんですよ。やっぱり情報システム部門の仕事は、一緒に業務改革に取り組んで「やったね!」と手を取り合えるようなものでありたいじゃないですか。

長谷川:本当にそうですね。

小和瀬:とにかくシステムによる業務改革を推進して現場で成果を上げること。それしか当時は頭にありませんでした。タイでは結構な額の借金があったのですが、売掛金の支払日の見える化と厳格な回収管理や、出荷データの統計処理による需要予測と自動補充による在庫管理など自動化や効率化を図ったら、みるみる赤字がなくなって5年で借金が消えたんです。

また社長が利益をタイ人の社員にもしっかり還元する人で、利益が出た分はしっかりボーナスで還元し、経験を積んで引き抜かれそうな有能な人は倍のサラリーを出すなどして、全社的なモチベーションがどんどん上がっていきました。社長自身もその後本社の常務になるなど出世しましたし、いったいタイで何が起きているんだと本社のお偉いさんが見学に来るなどして、ちょっとした話題になりました。

長谷川:確かに、それは放ってはおかないでしょう。

小和瀬:ええ、本社に呼ばれて、他のアジアの国にも展開しろと言われて、「アジア標準化プロジェクト」を立ち上げてプロジェクトリーダーになりました。それが32歳のことです。

長谷川:いい会社ですね。やっぱり、口だけじゃなくて手を動かして成果を上げた人が評価されるというのは、他から見ても気持ちがいいですからね。

小和瀬:もう張り切りましたよ(笑)。まずやったのが、コードやKPIの統一です。当時の海外拠点はもう「各自でやれ」という雰囲気だったので、もちろん商品コードは各国バラバラで売上げの定義も違う。アジア全体の売上げを集計するのに3週間もかかっていたんです。それを全部統一して、ボタン1つで見られるようにしました。そうした業務改善をみんなでコツコツやっていったら、かつては「日本では強いけど、海外では勝てない」なんて陰口を叩かれていたんですが、中国も含めて各国No.1になったんです。当時買収したカネボウにも同様に業務改善を行なって、そこでも大きな効果がありました。

長谷川:いやあ、気持ちがいいなあ。情報システム部門って、以前は「御用聞き」のように言われていたじゃないですか。それが率先してプロジェクトを牽引して、成果を出していくというのは、情シスの鏡ですよね。

小和瀬:たぶん、ITの技術ばかりやっていたらダメだったでしょうね。私も当時は経理だの流通だの、業務についていろいろ勉強しました。全部英語で覚えたので、今も勘定科目の名称は英語の方が得意です(笑)。

鳥と虫の目を持つ情シスが
組織と業務を改革できる

長谷川:その意味でも既存の情シスの人じゃないみたいですよね。経営企画とか、社長直下のエリート部隊の仕事じゃないですか。

小和瀬:いや、そこはやっぱり情シスの仕事なんですよ。だって、情報システムを新たに入れる時なんて、業務改革の好機じゃないですか。それがわかるのは情シス部門の人でしょう。確かに先ほど長谷川さんがおっしゃったように、部分的にしか見させてもらえないことで部分最適化しかできない人が増えているのは事実かもしれません。でも、部門としての情シスは全部を見ることができる「鳥の目」も持てるし、製品1つの掛け率調整みたいな「虫の目」も持てる。会社を大きく牽引する花形部門になるはずなんです。

長谷川:若い人にもそれは伝えたいですね。小和瀬さんの仕事の仕方から見ると、要望の通りにシステムを作るのって、「さぼっている」のと同意義ですよね。

小和瀬:もちろん業務担当者の意見をしっかり聞くことは大切ですよ。でも、テクノロジーを抑えていて、違う角度からみることもできるんですから、意見を出せて当然じゃないですか。そのためには技術の勉強もしなければならないし、他社の優れた事例や考え方にも触れていなければならない。社内だけで見ていてもダメだと思います。

長谷川:そうした小和瀬さんを育んだものって、やっぱり花王という組織文化なんでしょうか。

小和瀬:それは大きいと思います。花王って役職がつくのが部長からで、基本的にはフラットなんです。あるチームのグループリーダーでも、他のチームに異動したら単なるメンバーということもよくありましたから。人材の流動性が図られていましたね。

長谷川:それは確かに理想的ですね。現在、変化の激しい時代に柔軟に戦うには、日本型ヒエラルキー型からフラット型に転換するのが望ましいと言われています。

小和瀬:そう思います。そうした組織の中で、私は25歳でグループリーダーになり、30代で部長、45歳で本部長になったんですが、これは花王の中でも異例なことでした。でも、自分でも若いうちに全体を見る目を養い、40代で経営に関わられたというのは、とても幸せなキャリアを積ませてもらったと思っています。その実感もあって、LIXILでもフラットな組織と若い経営層を実現させたいと考えるようになったのでしょう。

長谷川:とても理想的なキャリアで、出世を考えれば、その後も花王にというのが自然な選択だと思うんですが、なぜまたLIXILに入られたんですか。

小和瀬:花王が業務改革で成果を出しているというので、たくさんの方が見学に来られて、いろいろとお話を伺うと日本の製造業の問題がだんだん見えてきたんです。これでは日本企業はヤバいなと。それでカンファレンスで話したり、メディアに出たりしていたんですが、そんな時に前社長である藤森さん(藤森義明氏)に誘われて、思いを同じくしていることがわかり、LIXILに入社したんです。

話を聞くことと「Quick Win」が
新天地で仕事を進めるコツ

長谷川:小和瀬さんのLIXIL入社は、CIOのキャリアチェンジの成功事例と言えますよね。経験があって行動力があるCIOが増えて各社を改革していければ、もう少し日本企業の変革も進むんじゃないでしょうか。

小和瀬:いやいや、私自身まだまだ思うように進んでいないので、がんばらなくてはと思っています。やっぱり会社の風土は大切ですね。5社が統合してできた会社なので、それぞれの社風がまだ融合せずに残っているんです。そのせいもあってか、フラットにみんなで会社を変えていこう、という雰囲気にはなりにくいところがあります。

長谷川:確かに。私は幸い幸せな転職ができたと思っているんですが、同じころに転職した人の中には「こんなはずじゃなかった」という人も少なくないんですよね。話を聞くと、改革のために転職してきたのに、社長からセーブするように言われたり、現場が足を引っ張ったりするというんです。もうそうなると、アイディアや技術スキル以上に大切なのはヒューマンスキルなんじゃないかと。行った会社の風土や経営層の考え方の当たり外れはあると思いますが、新しい会社でいかに信頼関係を築き上げていくかは、改革の成否に大きく影響しますよね。

その意味で、よくぞまあ、5社統合の難しい潮目に行かれて、どっかーんとシステムを入れ替えるというのは、さすが小和瀬さんというべきかと。

小和瀬:あの時は「花王での10倍の労力がかかるよ」と言われていたんですが、本当にそのとおりでした。花王では人的なネットワークもあるし、信頼関係もある。ですが、LIXILでは、それが少ない環境下でやる必要がありましたからね。

長谷川:あえてそれでも成功させるコツみたいなものって、なにかあるんですか。

小和瀬:まずは「話を聞くこと」でしょうか。入社後3ヶ月間はいろんな人に時間を作ってもらい、直属の部下である部長クラスはもちろん、メンバーにも話を聞きました。その際には、システムに対する考え方とか、その人のベースを理解することを徹底しました。

あとは「Quick Win」 でしょう。まず小さくてもなんらかの成果をいくつか出すこと。入社直後は「お手並み拝見」で遠巻きに見ている人も、どんなことができるのかを見せると「じゃあ、やろうか」という雰囲気になります。そもそも内部の人にはできなかったから呼ばれたわけで、そういうことをやってバリューを認めてもらうことが大切ですね。

長谷川:その後、藤森さんから瀬戸さんに社長交代になりましたよね。そこでかなり役員も減らされたと思いますが、その時にも残っていらっしゃる。

小和瀬:おそらく、いろんな人と信頼関係を結べていたからではないかと思います。加えてそれなりに結果を出せていないと、残るのは難しかったかもしれないですね。

熱意ある能動的なIT
停滞した組織を変える

長谷川:ちなみに瀬戸さんにはお会いしたことがないのですが、どんな方なんですか。

小和瀬:ご存知かと思いますが、もとは住友商事でアントレプレナーのプロとして活躍し、その後はMonotaROの社長をされています。MonotaRO時代のお話を伺うと、設立当初は人材確保だけでも大変だったようですね。現在、MonotaROはEC業界で目立つ存在になっていますが、相当苦労してスタートアップされたようです。それだけに、とにかく現場主義で、財務諸表が悪くても「それが今のうちの実力だ」って動じない。ITにもすごく詳しいですね。

長谷川:そういえばMonotaROの執行役 IT部門長だった安井さんには何度かお会いしたことがあります。今、あの方もLIXILに入られて、40代になったばかりですよね。

小和瀬:ええ、理事であり、マーケティング本部 デジタルテクノロジーセンター センター長で、瀬戸さんの住商時代からの右腕であるCDOの金澤さんとも同年代で仲がいいんです。二人ともとても熱意がある方だし、一緒になっていい会社にしていきたいと思いますね。ITで風穴は空けられると私も彼らも信じていると思います。とはいえ、カルチャーを変えないとならないし、問題は山積みですが。

だから、長谷川さんがいろいろと斬新な取り組みをされていると伺うと大いに刺激になります。

長谷川:いや、もともとは東急ハンズの社内システム自体をクラウドサービス化したいと思っているんです。通常、企業は拠点からデータセンターまでVPNなどでネットワーク構築していますが、G-SuiteにVPNを張ってないじゃないですか。そうすると、各店舗からクラウド上の業務システムを利用するなら、VPNでなくてもいいんじゃないかと。あと回線を1つに集めるとスループットが集中して太い線をひく必要があるし、ボトルネックになってリスクも高い。かといって各拠点に、IPS、IDS(不正侵入検知・防御システム)を全部入れるのはコストが厳しいなと。それで信用のおけるところには各拠点から直でつないで、それ以外のどこにつながるかわからない部分にはIPS、IDSを入れればいいと、そんなふうに考えたわけです。

小和瀬:なんだかセキュリティの話をすると、どんどん過剰防衛というか、複雑になっていますよね。でも、たぶん目指すべきそこじゃないような気がしています。

長谷川:そうですね、セキュリティー対策には、終わりはないですけど、私の考えは、SaaSなどインターネット上のサービスを業務で使うのであれば、インターネット接続を前提とした全体設計をして行かないといけないと思っています。ちょっと乱暴ですが、LAN/WANがない方がいいんじゃないかと。Google Chromeで業務システムを全て動かせるようにしていこうと考えているところです。

小和瀬:それは面白そうですね。ただChromeは予告なしにバージョンアップされるのがきついかなあ。突然システムが動かなくなる可能性があるので。ただ、これまでは「オフィスで仕事をする」のが普通でしたけど、これからどこでも仕事ができるようになる時代にあって、閉域網でFirewallを入れて“ここだけはキレイな世界”なんていうのをつくってもなあ…、って私も思います。今後は1つ1つのコンテンツを守る仕組みができて、ネットワークはオープンというような方向に進むのではないでしょうか。

長谷川:私もそんな気がしています。先日、某大企業のセキュリティ担当の方に、IPS/IDSの話を伺ったら、「IPS,IDSを導入すると、逆に、データが出ているのがわかるだけで、防げるわけではない(笑)」というような話をされていて、やはり、古い資産(サポート切れはもちろんのこと)がネットワーク上にあると、ダメなんだなと思いました。

ちなみに私はソフトウエアの最新化が、大好きなんですよ。新入社員の時はWindowsPCも毎日アップデートのボタンを押してから仕事をしていましたし、今もMacOS、Chromeは1日数回アップデートボタンを押してしまいます(笑)。毎回目立つ改善はないんですが、アップデートされていると「なんかよくなってる〜」みたいな気がするんですよね。

業務改革の要は組織改革

小和瀬:実は花王も自分で何でもつくっていましたね。情シス部門だけでなく、製品も独自性を重視していました。当時は外から持ってきた製品は「ニベア」ブランドくらいでしたよ。システムも「バーティカル・インテグレーション」を信条としていて、それを私たち情シスの強みと捉えていました。

長谷川:そもそも自分たちのコアになるシステムを買ってくる情シス部門って、単なる購買部じゃないですか。

小和瀬:そうなんですよね。自分でやらないでどうするつもりなんだと。技術者なのに要件定義しかしないという人とか、何が楽しいのかと。でも、花王は自前で作るからこそIT予算が少なかったんですよ。システムを作った後の検収に時間を掛けていたから、そこがボトルネックになってしまって。でも、使わない、使えないシステムなんていらないですからね。

LIXILでも今は、たとえばSalesForceの資格もガンガン取らせて、コンサルがいなくても自分たちでどんどんつくれるようにしているんです。C#を標準にして、コーディングも自分たちでどんどんできるようにしたいんですよね。新入社員にも研修期間中にダミーではなくて、本当のシステムを作らせたんです。やっぱりシステムは「使われてなんぼ」ですからね。

長谷川:そうなんですよね。どうしてもシステムって失敗すると大ブーイングで、動いて当然みたいなところがあるから萎縮してしまいますけど、そのリカバリで経験値が上がっていくわけですから。

小和瀬:将棋棋士の藤井聡太くんも、あの強さは細かいミスや間違いをし続けて、それをどんどんリカバリできるからという話ですよね。人工知能だってトライアルアンドエラーで賢くなる。会社が傾くような失敗は困りますが、小さな失敗がどんどんできて、リカバリできる環境をつくるのは上司の役割だと思いますね。

長谷川:失敗が怖くないなら挑戦もしやすいですからね。

小和瀬:もうね、失敗しながらも成功に到達する喜びは、一度味わうとやみつきですからね(笑)。もちろんすんなり進んでくれるのが一番ですが、難しくて成果が上がるものほど失敗しないわけがないですから。それはもうドラマと変わらない。日曜9時の「下町ロケット」とか、もうたまらないですね。

長谷川:あの枠ですよね。いつも見て、胸を熱くしていますよ。

小和瀬:あえて大変な道を歩く、その喜びを若い世代にも知ってもらいたいと思いますね。

長谷川:いいですね、ぜひうちと合同ハッカソンやりませんか。技術を競うというより、発想を楽しんだり、外部の人と触れ合ったりというのが主目的で、いわばお祭りなのですが。案外、研修に行くより、お互いに刺激し合って、気づきがあるようなんですよ。

小和瀬:ぜひ、やりたいですね。よろしくお願いします。

長谷川:近いうちに実現させましょう。今日はありがとうございました。

 

 

 


長谷川秀樹のIT酒場放浪記 第52回 早稲田大学准教授 入山章栄さん


ハンズラボCEOの長谷川秀樹が、エンタープライズ系エンジニアが元気に働ける方法を探し、業界のさまざまな人と酒を酌み交わしながら語り合う本対談。第52回のゲストは、気鋭の経営学者、早稲田大学大学院(ビジネススクール)准教授の入山章栄さんです。子ども教育から今の時代の大学・大学院の意味や経営者に必要なリーダーシップについてなど、幅広く伺いました。

経営学ごときで、ビジネスの答えなんか出ない?

長谷川: 入山先生と最初にお会いしたのは、日経BP社がやっている「日経ITイノベーターズ」という会合ですね。企業のITの責任者をしている、ちょっと変わり者の人たちの集まりで、年に何回か勉強会みたいなことをしています。そこで入山さんの講演を聴かせてもらって、今までにないアカデミックに閉じ籠もらないオープンかつ実践的な先生だなと思いました。率直に言いますが、大学の先生の中では嫌われていますよね?(笑)

入山: ははは、嫌われているというか……(笑)。僕は5年前、アメリカにいた時に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』という本を出しているんですけど、すごく平たく言うと「世界の経営学は欧米でもアジアでも国際標準化が進んでいるのに、日本の経営学はガラパゴス化している」的なことを書いたんですね。ガラパゴスがいいか悪いかは別として、「国際標準の経営学は、日本で理解されているものとは全然違う」ということを書いたので、僕のことを陰で悪口言っている人とかはいるのかもしれませんね(笑)。

長谷川: 僕、どっちかというと実学派なんですね。日経ITイノベーターズに出ているCIOって、みんなそうだと思うんです。で、そういう人達の前で入山先生は、学術専門的な話もありながら、「結局、そんなフレームワークだとかは関係なくて、こうなんだよ」というような実学派にわかりやすい話をされていて、でも結局は「俺は経営学を学問として突き詰めていきたい」とガツンと言う、そういう妙なバランス感にびっくりしました。こんなことを言う人が。世の中にいるんだなと。

入山: そうでしたか。本にも書いているんですけど、「経営学が役に立つ」とかいう議論が、僕はもう全然理解できないんですよ。そもそも「役に立つ」ということ自体がすごく曖昧というかいいかげんな言葉ですし。長谷川さんには釈迦に説法ですけど、ビジネスってものすごく複雑で大変で、経営学ごときでパッと答えが出るわけがないですよね。

だけど、ビジネスというのは答えが出ない中でも「決断」はしないといけない。そのためには、ずっと学習するしかないと思うんです。例えば稲盛和夫さんみたいなすごい経営者の話を聞くのもひとつの学習だし、先輩の話を聞くのも学習です。でもそういう機会がない人には、一応は世界中で何万というそこそこ頭のいい学者たちが、真剣に科学的に研究をして、例えば「10万社のデータを使って統計解析したら、全体の経営行動指標はこうなりました」とか、そこまでは伝えられるのが経営学です。ただ、「それであんたの会社がどうなるかまでは、俺は知らん」ということで……。僕は逆に、学者にできるのはそこまでだと思うんです。だから「答えが出ます」と平気で言う学者がいるとしたら、一番信用できないですね。

今の時代にMBA留学の意味はあるか

長谷川: 日本の企業は、バブルの頃から社員をMBAに送るというのをずっとやってますよね。最近はMBAに日本人はいなくて、中国人とインド人が多いという話も聞きますけど。今でも、企業は社員にMBA留学させた方がいいんでしょうか?

入山: 難しい質問ですけど、何を求めるかですね。MBAに行って勉強しても、もしかしたら期待したようなことは、100%は身につかないかもしれない。でも、MBAに行く価値はそれだけじゃない。すごくハードな状況で追い詰められて勉強する経験とか、何より、圧倒的に重要なのが「人との出会い」です。MBAでは、教員も同級生も、今まで会えなかったような人と会えて切磋琢磨できます。行った先ですごく強烈な出会いがあるかどうかということが、すごく重要だと思います。

MBAじゃなくてもいいですけど、海外に一度は行って暮らすのはすごくいい経験になると思います。というのは、僕がアメリカにいるときにすごく感じたのは、地の能力でいったら、日本人の能力の高さってやっぱりかなり高いんですよ。同じビジネススクールの中で比べたら、一般に留学生に比べてアメリカ人は、能力的に落ちることも多い。でも彼らは英語というアドバンテージがあるので、最初は向こうの方が何となく頭よさそうに感じちゃうわけですね。1年目はそれで済むんだけど、2年目になると留学生も英語が分かるようになって、「あいつら頭よさそうなこと言っていたけど、意外とたいしたことないよね」って話になる。――ということとかを知るだけでも全然違いますよ。

長谷川: なるほど。

入山: 本にも書きましたけど、アメリカはすごい国で、「お前どこから来た?」ってほとんど聞かないんですよね。いろんな国の人がいて、本当に切磋琢磨しているんです。僕はそれがすごく好きです。ピッツバーグ大学の博士課程で先生1人に学生4、5人で経営学の論文について、当然ながら英語でみんなで熱く議論していたとき、ふと「あれっ、オレいまアメリカの大学の博士課程にいるけど、アメリカ人誰もいないわ」と気づいたんですよね。日本人の僕、中国人が2人、メキシコ人が1人、あとインド人が1人だったかな。アメリカの大学はそういうのがけっこう普通だったりするので、もっと多くの人がそれを経験した方がいいなと思います。本当に実力だけで勝負するのが普通の世界をね。

長谷川: 勉強だけじゃなくて、仲間とか異文化とか、いろんなところでの成長があるということですね。でも、企業に戻るとみんな辞めちゃいますよね。それはポストとか処遇の問題なのか、大企業には戻らないような「体」になっちゃうのか分かりませんが……。

入山: 僕は元々、日本の大企業が欧米のMBAへの留学支援をするなんて何考えてるんだろう、と思ってましたよ。だって実力つけたら、今の会社に留まるのがばかばかしくなるのは当然でしょう。

長谷川: よく言われる、日本は出る杭は打たれる、アメリカはそうでもない、というのは、本当にそんな感じなんですかね? 「日本人はイノベーションを興すのは無理だから諦めたら」なんて話もありましたが。

入山: アメリカも結構、出る杭は打たれますけどね。アメリカ人って日本人よりもよほど空気を読みますし、すごい学歴社会だから、僕は「アメリカ人は自由だ」みたいな言葉は、あまり信用していないです。

日本にいると、アメリカのすごいところだけが見えがちですけど、ものすごい競争社会なので、本当にごく一部の神様みたいな天才が競争で勝ち上がっているだけ。マーク・ザッカーバーグみたいなのは本当に1%、もしくは0.01%なんですよ。残りの99.99%は普通というか、失礼な言い方をすると、アベレージなら日本人より低いかもしれない。それをどう見るかですね。

長谷川: そうすると、暮らしていく上で、アメリカのいいところ、日本のいいところって、どんなところでしょう?

入山: 日本は食べ物がおいしいところですね(笑)。これはもう圧倒的。あと安全だし、暮らしやすい。大好きですね、僕は。

アメリカのすごいと思うところは、やっぱり多様性かな。僕は「お前日本人だから、、、」と言われたこと、一回もない。普通に「アキエ、よく来たな」みたいな感じで、個人として扱ってくれる感覚とか、ああいうのはすごいですよね。でも、しんどい国だなと思います。競争も激しいし、それなりに人の裏表もある。

僕は今、日本で早稲田大学にいて、正直こういうの嫌なんですけど、多分このまま無難にやり過ごせば、定年までどうにかなる可能性がかなりある。こういう感覚は、アメリカにいたら一生ないかもしれないですね。永久在住権とって准教授になっても、結局教授になるためにはまた競争が必要で、教授になったら今度は冠付き教授(Chair Professor)になる必要があって、、、無限ドラクエみたいな感じです。レベルが上がるたびに強い敵が出てくるみたいな(笑)。だから、あそこで勝ち上がるのは本当にすごいなと思います。

子どもに身につけてほしいのは数学と英語

長谷川: 今、お子さんはおいくつですか?

入山: 10歳の男の子と6歳の女の子です。

長谷川: 僕も小4の男の子がいるんですが、例えばその10歳の男の子に対して、どんな教育プランを考えていますか?

入山: 2つだけです。ひとつは、僕は日本の「礼儀正しく」が好きなので、ちゃんとして欲しいというのはあります。あとは息子には「英語と数学だけできれば、あとはどうでもいいから」と言っています。数学をやってプログラミング言語ができる素養が身につけば、息子は一応帰国子女なので、あとは要らないというのが僕のスタンス。もちろん国語とか、美術とか、色々と重要なこともあるけど、それは好きに感性ベースでやってくれればいい。

長谷川: 今まで、というか今も日本は学歴社会ですが、そういう意味で、こうなってくれたらいいなという、理想のようなものはありますか? もちろん最後はお子さんが自分で選択するものだと思いますが。

入山: 僕は子どもが好きで、子離れできなさそうなので(笑)、「なるべく一緒にいてほしいな」という思いはあります。だから葛藤もありますけど、それを無視すれば、最強のパターンは、「日本でそこそこいい大学に行って、大学院でアメリカに行くこと」かなと思います。

長谷川: なぜですか?

入山: 学部で向こうに行くよりも、母国で大学ぐらいまでちゃんとやってから、問題意識を持ってアメリカに行く人の方が、僕の周りでは力がある場合が多いかな、と思っているんです。あくまで個人ベースの経験則ですが。

長谷川: うちは嫁が英語好きで、子どもにもずっと英語をやらせてるんですね。僕はIT系なので、絶対というわけではないけれど、コンピューターはやってほしい。要するに英語とコンピューター以外は、学校の成績どうでもいいと思ってるんです。とはいえ、僕はもともと三重県出身で、中学受験とか全くない世界だったので、この東京では、みんなどうしてるのかなと、気にもなって。

入山: すごくわかります。難しいですよね。うちは、嫁さんがお受験とか悩む派なんですよ。僕はそんなのどうでもいいと思っていたんですけど。

長谷川: 中学受験をさせる予定は?

入山: 検討中です(笑)。息子は今は公立の小学校に行っているんですけど、中学受験するなら中高一貫か、一番いいのは大学まで行ければと。息子は僕と違って数学の素質がありそうだし、アメリカに6歳までいたので基礎的な英語はしゃべれるんですね。アメリカ国籍もあって。だからもう放っておいて、好きなことやればいいんじゃないの、という気持ちもあるんです。個人的には息子に任せています。長谷川さんはどうですか?

長谷川: ひとつだけ思っているのは、大企業終身雇用みたいな所謂王道(に思える)のレールを信じるのではなく、「俺はこっちが幸せだから」とレールから横っ飛びするような、そういう感じになってほしいな。それだけ考えてやってますね。

お受験でトップ校行かないんだったら、むしろ変わったところに行ってほしいなと。僕はどっちかというと、アジアかなと思ってるんです。アジアの人たちがいっぱいいるような中学や高校なんかに行って、「俺の実家来いよ」って誘われて、ちょっと向こうの国に行って遊んでくるみたいなのがいいなと。

入山: それはいいですね。子どもの教育のためにアジアの別の国に移住する人も出てきていますからね。

大学の価値、先生の役割は変化している

長谷川: お子さんには大学院からアメリカに行ってほしいと言われる一方で、MBA留学するとしたら海外でネットワークを作れるところに価値があるという話でしたよね。GDPでいくと、アメリカはまだ伸びるとは言われてますが、一方でアジアの時代が来るということもあり、アジアの大学に行くというのはどうなんでしょう。

入山: それはありだと思いますよ。例えばアメリカに行っても、下手すると同じ母国の人とつるみがちなので、1〜2年留学したくらいだと、結局そんなに欧米の友達はできない人もいます。できても、別れれば疎遠になる。そう意味では、僕の勤めている早稲田大学のビジネススクールの方が、ある意味面白いかも知れません。うちのMBAはいま世界30ヶ国近くから人が来ていて、しかも北米や欧州からも来るけど、メインはアジアからなんですよね。先日なんかも、うちのゼミ生の台湾の女の子が修士論文のテーマを「私のファミリービジネス」に決めたいと言うんです。何かと思ったら、台湾で一番大きなトヨタの輸入代理店のお嬢さんだったんです(笑)。そういう子が結構いるので、「(アメリカに行くよりも)ここで人脈つくった方がよっぽどいいかもよ」という話は、学生にたまにしています。

長谷川: 大学や大学院の教育ってどう変わっていくんでしょう? インターネットの前後で違うのではないでしょうか。昔は、大学でも、先生が「こうだ」と言ったことを信じて勉強していたのが、最近は、その場で、ググったりとかして、「この人が違うこと言っていますけど、どうなんですかね?」みたいなことってあるんじゃないですか。消費者が賢くなるのはまだいいとしても、学生がそうなると、授業をするのも難しくなってくると思うんですけど。

入山: それ、素晴らしいポイントです。もう基礎的な知識で大学に行かないと学べないことは減ってきているので、「先生が何を教えるか」だけでは、大学の価値はなくなってきていますよね。

必要なのは2つで、まず「その大学を出た」ということです。経済学で「シグナリング理論」というんですけど、例えば東大に入るのは大変じゃないですか。それでも入りたがるのはなぜかというと、ものすごく勉強して受験競争を勝ち抜いて、日本のトップ校に入ったことで、「それだけ努力していて、地頭がいいんだな」ということをリクルーティングする人に伝えられるから。大学で何を勉強したかはどうでもいいわけです。

もうひとつは、繰り返しですが、いろんな人と出会えるということですね。僕は学部は慶應だったんですけど、特にゼミの先生とか、ゼミで出会ったら奴らには面白い人が多くいました。そのまま友達でいられますし。

その2つが大事で、大学教員がこういうのはまずい気もするんだけど、「何を学んだか」のウェイトは下がってきていると思います。だから個人的には、早稲田大学のビジネススクールも、より人との出会いとか、面白いことが起きているコミュニティとか、さらにそういう風になればいいと思っています。まあ、うちは、かなりそうなっているとは思うのですが。

長谷川: スタンフォードは結構座学が多くて、ハーバードはディスカッションが多いと聞いたりしますね。先生が教えるというよりも、学生同士に議論させると。

入山: ハーバードではもう、教授はただの司会者みたいな感じのようです。

長谷川: モデレーターみたいな。

入山: そう。教授はほとんど持論を述べないで、ひたすらディスカッションをさばく。ビジネスには答えがないので、教授が「こうだ」と答えを言っても仕方がないじゃないですか。そうじゃなくて、「こいつがこういうふうに考えるんだ」とか、「こういう考え方もあるんだ」という、多様な考え方を、世界中から来た優秀な人達から引き出すことが、教授に必要な能力になってきているのだと思います。ハーバードはそれが一番徹底している印象です。

大企業とベンチャーで必要とされるリーダーは重なってきている

長谷川: もうひとつお聞きしたいことがあって。リーダーに関してなんですけど、大企業に向いているリーダーと、ベンチャーに向いているリーダーって、やっぱり素養とか何かが違うんですか?

入山: 僕はオーバーラップしてきていると思っています。なぜかというと、今は大企業でも普通にやっていたらつぶれちゃうので、ベンチャー的になっているんですね。

僕はデロイトトーマツというコンサルティング会社が開催している「人材流動化研究会」の座長をやっているんです。先日はたまたまGEの人が来ていたんですが、GEの発想はすごくベンチャー的になってきてますよね。「そうでないと俺たちつぶれる」と言っていて。だから、求められる人材は重なってきているのかもしれません。

先の分からない世界なので、やるしかないわけです。でも不確実性があるとみんな不安なので、いかにリーダーが周りの人たちに、「うちの会社はこれからこうなる。そうすれば社会でバリューが出せて、すごく魅力的なことができるんだぜ」というのをちゃんと語れるかがすごく重要です。ベンチャーは昔からそうですが、感度の高い大企業も少しずつそうなってきています。

長谷川: 大企業って、課長や部長ぐらいまでは業務成績がよければ「あいつ、すげえじゃん」と評価されるけれど、どこかからか「イエッサー」の人だけが上がっていくというところがありますよね。あるいは減点主義の中で、マイナスの奴は落とされていくようなところが。今おっしゃったようなベンチャー的なリーダーを受け入れて、上に上げていくように変わっていくんですかね?

入山: 多分、そうやっていない会社はつぶれちゃうと思いますよ。ただ難しいのは、日本企業で評価するのは「成功か、失敗か」なんですよね。失敗か成功しかなくて、失敗したら減点になるやつです。もちろん勝たなきゃだめなんだけど、そのプロセスでものすごい失敗があってもいいはずで、そういうのを認められる方にいかないと勝てないというのは間違いないですね。

長谷川: リーダーの「素養」というと「生まれ持ったもの」という意味になっちゃうのかもしれないですけど、リーダーに必要なものとは、どういうものでしょう?

入山: これからの時代ということでいうと、まず未来を見抜ける能力だと思います。これは重要で、良い経営者はみんな未来を見ている。当たり前ですけどね。

ただ問題は、未来が本当にそうなるかなんて分からないんですよね。それでも「絶対こうなる」と見定めて、それに対して「うちの会社はこういうアップセットがあって、こういうリソースがあるから、こうやって価値を出すんだ」ということをちゃんと語れる、巻き込めるリーダーというのが決定的に重要だと思います。

長谷川: 孫(正義)さんも、「情報が7割ぐらいのときに決定できるのがリーダーで、10割で判断するのは一般社員でもできる」と言っていますよね。

入山: 孫さんなんて、きっとあの人2、3割で決定していますよ! クレイジーだと思いますけど、未来は分からなくても「こっちなんだ」と言って、ステークホルダーを巻き込んで「こっちに投資しよう」とやっている間に、経済はそっちになっちゃうんですよね。「セルフフルフィリング」といって学術的な理論もありますが、やっているうちに本当に実現させる、つまり未来をつくり出すんです。

孫さんは最近10兆円のファンドを作ったり、昔ボーダフォンを買ったときもそうですけど、普通は絶対引き出せない金を引き出せる。それは語る能力が異常にあるからだと思います。「世の中わからないけど、とりあえずこっちなんだ。だから金出せ」と(笑)。僕が言うのもおこがましいけど、これからの経営者に一番必要な素養を持っている方なのだと思います。

これからのリーダーに必要なのは、魅力あるビジョンを語る力

長谷川: 最近注目している経営者は、どんな人たちですか?

入山: 好きな経営者は何人かいます。孫さんは直接お会いしたことがないので、お会いした中ですごいな思うのは、やはり日本電産の永守さんですね。もう70ですけど、怪物ですよ。グローバルのGEとかが組織でやっていることを、永守さんはひとりでやっているんですよ。モーターの会社で、「モーターは産業のコメになる」というビジョンをもっています。なぜなら、車が自動運転になれば全部モーターが入るし、加えてドローンもあると。しかもドローンは近いうちに自家用の「マイドローン」になる、「15年したらドローンで通勤するんだ」と、そういう絵を描いているわけです。日本電産は世界のモーター市場の8割を押さえていて、ドローンってモーターが絶対必要だから、ドローン市場が伸びたら、日本電産の売り上げもガッと伸びるんですよ。永守さんが「あと10年で10兆円にする」と言っているのもあながち夢じゃないなと思います。話を聞いていると「この人、あまりにも言っていることが壮大だけど、ついていってもいいかな」と思っちゃうような方です。

長谷川: ただのほら吹きおやじで、人がついてこない人との違いは何でしょう?

入山: 面白いのは、永守さんは「10兆円にするというのはホラだ」と言っているんです。でもワクワクするんですよね。本当にキャラが濃いので、部下になったらすごく大変でしょうね。日本電産は最近も経営幹部が辞められていますが、でもやっぱり残っている人たちは魅力を感じているのだと思います。それがリーダーなんだと思いますよ。孫さんもそういう感じみたいですが。

長谷川: そういう意味では、大ボラ3兄弟と言われているのがファーストリテイリングの柳井さんと、永守さんと、孫さん……。

入山: 僕が言うのも僭越すぎますが、あの3人は似ていますよね。みんな一見すると信じられないようなことも多く話して、でも実現しているじゃないですか。だから結局投資家にしても、バリュエーションなんかどうでもいいのかもしれない。その人のビジョンとか考え方にいかに共感できるかなので。そういう人間力みたいなのがもっと重要になると思います。多分日本で一番それがあるのが孫さん、柳井さん、永守さんなのかも。

長谷川: 入山先生自身は、これから何がやりたいとか、あるいは世の中をこうしていきたいとか、そういう希望はありますか?

入山: 僕の場合、面白いことが好きだから、「面白いことだけやるし、面白くなかったらやらない」というだけなんですよね。最近はみんな、「人の役に立ちたい」「世の中の役に立ちたい」という感覚が結構あるみたいですけど、僕はいまだに全然興味がない。今は個人的に面白いことをやれているので、ものすごく楽しいです。

長谷川: 仮に10人中10人に、「それは全然面白くないですよね」と言われても、自分が面白かったら全然いいということですか? それとも、さすがに10人中10人に面白くないと言われると、「俺ちょっと違うかな」みたいに思います?

入山: 多分、自分が面白いなと思っていることが、全員かどうかはわからないけれど、ある程度は他の人の興味ともマッチしているからハッピーなんでしょうね。それがすごくずれているという状態は、想像したことがないから何とも言えないですけど。

長谷川: 面白いことが他の人にとってマイナスなことはそんなにないはずで、社会の役に立つことにも連鎖しているだろうという感じでしょうか。

入山: それはそうだと思います。周りの人たちに面白がってもらっているというのを「役に立っている」と考えれば、そうだと思います。

長谷川: なるほど、それは確かにハッピーな状態ですね。よくわかりました。

今日はお忙しい中、ありがとうございました!


【Pick Up! Vol.36】〜GUの最新ファッションデジタルストア体験レポート〜


こんにちは、ライターの公文紫都です。
現在日本に一時帰国中なので、横浜港北ノースポート・モール内にできた、GUの最新ファッションデジタルストアに行ってきました!

オシャレナビ・ミラーでレビューや着こなしをチェック

実はGUに行くのがこれが初めて。至るところで、「GUは安い上に可愛い!」「大人でも使える!」とウワサを聞いていたので、娘を連れて楽しみに行ってきました。しかも最新ファッションデジタルストアと……! これはワクワクが止まりません。

最寄りのセンター北駅を降りると、ノースポート・モールが見えます。
GUの文字もしっかり。

続きを読む 【Pick Up! Vol.36】〜GUの最新ファッションデジタルストア体験レポート〜


ハンズラボシステム導入事例:ダイドードリンコ様IoT自販機


IoT自販機の実現にSORACOMを導入 クラウドへセキュア且つ簡単にデータを送信

ハンズラボではAWSやSORACOMを活用し、小売業向けの業務システム開発を行っております。
今回はダイドードリンコ様、富士電機様での導入事例をご紹介いたします。

プロジェクトの概要

ダイドードリンコ様が全国に展開する「SmileSTAND」にて取り組まれている、自販機IoTプラットフォーム化において、ハンズラボは富士電機様と共に本サービスに関する開発を行いました。

ダイドードリンコ株式会社(大阪府大阪市)が提供するIoT自販機「SmileSTAND」

 

この自販機IoTプラットフォーム化においてハンズラボは、IoT自販機より行われる、販売データや自販機データのAWS(Amazon Web Services)への送受信や、IoTデバイスを管理するためのシステム開発を担当しています。なお、自販機によるIoT化を実現するにあたり、SIMカード「SORACOM Air for セルラー」を取り付けたIoTデバイスを使用しています。IoTデバイスからのデータ収集は「SORACOM Funnel」を用いて、AWSのサービスに直結しています。

SORACOMを選定した理由

IoT通信プラットフォームSORACOMは、IoT向けに最適化された通信とクラウドを融合したプラットフォームです。デバイスにデータ通信SIMカードを用いることとで、セキュアかつリーズナブルな通信を可能にします。

「SORACOM Funnel」は、クラウド連携に必要な認証情報などをクラウド側で管理することで、迅速かつセキュアなクラウド連携を可能にします。本事例では、連携先としてAmazon Kinesis Firehoseを選定しました。「SORACOM Funnel」により、デバイス側に認証情報をもたせることなく、Amazon Kinesis Firehoseとの連携を実現しており、セキュリティに考慮しながら、迅速なデータのクラウドへアップロードを実現しました。(注)。

また、「SORACOM」では、デバイス側からはオーバーヘッドが低いTCPやUDPでモバイル回線で送信し、「SORACOM」側で暗号化プロトコルに変換しサーバーにデータを送信する機能があります。データ通信量を抑えられるオーバーヘッドが低いプロトコルを利用できたことにより、ハードウェア開発元の富士電機様との開発をスムーズに行うことができました。

(注)SORACOMとAWSのコンソールから事前に設定が必要です。

構成図

 

 


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